間接税で何が起こるか―付加価値税導入の教訓

一億総中流の形成過程では消費税も有効だったかもしれないが、今や成熟以上に爛熟し成長しない縮小経済で格差や貧困さえが目にあまるようになった。これは何も悪平等や微妙な話ではない。財政状況の議論では一千兆の借金がまず俎上に乗る。これには何百兆の財産が対応させられ、貸借対照表の反論がある。それにしても、国家財政の規模は膨張しすぎだという議論にスライドできなくはないものの、これに対しても世界金融市場の膨張からすればこんなもんだろうとあしらうこともできる。要するに、議論は常に有耶無耶になる。いずれにしても、もはや金融の問題は金融で、金の問題は金で、と言うかもっとちゃんと言えば金融税制で、金融税法で解決しろと言うのが一番適当で、結論とすべきであるように思われる。本書では、食品や生活必需品というより食糧自給に関わる農業と小企業のゼロ税率を明確に提言している。そんな最低限の配慮もできない簡素さが追求されねばならないとしたら、やはりこれは不適切と廃止を断ぜざるを得ないであろう。