中国の大問題 (PHP新書)

著者は、伊藤忠商事の会長から中国大使となった。大使在任中のことを書いたこの本を読んでいて、著者は、外務省のキャリアとは違った考え方で大使職を勤めたのではないかと思えた。日本の大使は日本政府を代表して、外国にある日本大使館に駐在し、日本人の安全の確保やその国の政府とさまざまな交渉などをするのが仕事であるが、外務省のキャリア組の大使は、基本的に日本（霞が関・永田町）の方ばかりを見ながら仕事をしているのではないだろうか。一方で、この本の著者は、商社勤務の経験から、自分の利益となると同時に相手方の利益ともなることが、日本と中国の良好な関係を維持していくために必要だと考えていたのではないか。このことから、発言が中国よりと批判されることにもなったのではとないかと思った。単なる自慢話をつづっただけの本ではない。